この記事の監修者
【この記事の監修者】行政書士:寺岡孝幸の顔写真

行政書士:寺岡 孝幸(てらおか たかゆき)
資格:行政書士、土地家屋調査士。
取扱い分野:戸籍謄本類の取得や相続に関する手続き全般。

経歴:開業以来17年間、戸籍謄本類の取得代行業務を全国対応で行ってます。
行政書士のプロフィールはこちら

まず、戸籍を「戸籍の名称」で分ける場合には、
現在戸籍・除籍・改製原戸籍の3種類に分けられます。

次に、戸籍の全部の写し(コピー)か、
一部の写し(コピー)かで分ける場合には、
戸籍の謄本(とうほん)と抄本(しょうほん)の2種類に分けられます。

そして、「戸籍の様式」で分ける場合には、
明治19年式の戸籍・明治31年式の戸籍・大正4年式の戸籍、
昭和23年式の戸籍・平成6年式の戸籍の5種類に分けられます。

つまり、戸籍には、「戸籍の名称」「全部の写しか一部の写し」
「戸籍の様式」という3つの分類の仕方があるのです。

そこで、戸籍の種類について、それぞれ具体例を見ていただき、
どの種類の戸籍がどんな時に必要なのかもわかるように、
戸籍謄本類の取得業務を行っている行政書士がくわしく解説致します。

スポンサーリンク

この記事を閲覧することで、戸籍の種類について、
具体的にどんなものがあり、どんな時に必要なのかわかります。

戸籍の名称で分ける場合は3種類

戸籍の名称で分ける場合には、
現在戸籍・除籍・改製原戸籍の3種類となります。

それぞれの読み方は、現在戸籍(げんざいこせき)、
除籍(じょせき)、改製原戸籍(かいせいはらこせき)です。

戸籍自体にも[除籍]や[改製原戸籍]という記載があるので、
戸籍を見れば、それが除籍なのか、改製原戸籍なのか、
現在戸籍なのかがわかります。

そこで、現在戸籍、除籍、改製原戸籍がどういった書面なのか、
それぞれの具体例と特徴を見てみましょう。

現在戸籍

現在戸籍とは、生きている人が1人以上在籍しており、
現在使用されている現在進行形の戸籍のことです。

戸籍の本籍地の役所で、戸籍簿に綴じられて保管されています。

普通に戸籍と言う場合は、この現在戸籍のことで、
現戸籍(げんこせき)と呼ぶこともあり、
除籍や改製原戸籍と区別しています。

具体的には次のような戸籍のことで、
赤枠部分に注目して見てください。

現在戸籍の例

現在戸籍かどうかを正確に見分けるには、
戸籍の末尾の認証文(赤枠部分)を見ると良いです。

なぜなら、現在戸籍には、次の1~4のいずれかの認証文の記載があるからです。

  1. これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。
  2. これは戸籍中の一部の者について記録されている事項の全部を証明した書面である。
  3. この謄本は、戸籍の原本と相違ないことを認証する。
  4. この抄本は、戸籍の原本と相違ないことを認証する。

上記1~4のいずれかの認証文が末尾にある戸籍は、
現在戸籍と判断できます。

判断するポイントとしては、
認証文の中に「戸籍」の文字があるかどうかです。

なお、次の表は、現在戸籍が必要な手続きと、
誰の現在戸籍が必要なのかもわかる一覧です。

【現在戸籍が必要な手続き】【誰の現在戸籍が必要?】
相続手続き亡くなった人の現在戸籍の謄本と、その相続人全員の現在戸籍の謄本又は抄本
パスポートの申請手続きご本人の現在戸籍の謄本又は抄本
出生の届出未婚で提出する役所と本籍地の役所が異なる場合、ご本人の現在戸籍の謄本又は抄本
婚姻の届出提出する役所と本籍地の役所が異なる場合、ご本人の現在戸籍の謄本又は抄本
離婚・転籍の各届出提出する役所と本籍地の役所が異なる場合、ご本人の現在戸籍の謄本
公正証書遺言書の作成遺言者と相続人とのつながりのわかる現在戸籍の謄本
家系の戸籍調査ご本人と直系の人の現在戸籍の謄本
(現在戸籍が必要な手続きと、誰の現在戸籍が必要なのかの一覧)

除籍

除籍とは、1つの戸籍に在籍した人達が、
死亡、婚姻、養子縁組、離婚などによって、
全員いなくなった戸籍のことです。

戸籍にいる人全員が、その戸籍から除籍されると、
その戸籍の名称は除籍となり、戸籍簿から外されて、
除籍簿に綴じられることになります。

次の例は、除籍の具体例で、赤枠部分に注目して見てください。

除籍の例

除籍かどうかを正確に見分けるには、
冒頭部分か末尾の認証文(赤枠部分)を見ると良いです。

なぜなら、除籍の冒頭部分には、
「除籍」という大きな文字があり、
末尾の認証文にも「除籍」という文字があるからです。

なお、次の表は、除籍が必要な手続きと、
誰の除籍が必要なのかもわかる一覧です。

【除籍が必要な手続き】【誰の除籍が必要?】
相続手続き亡くなった人の全ての除籍の謄本
公正証書遺言書の作成遺言者と相続人とのつながりのわかる除籍の謄本
家系の戸籍調査ご本人と直系の人の除籍の謄本
(除籍が必要な手続きと、だれの除籍が必要なのかの一覧)

改製原戸籍

改製原戸籍とは、戸籍が改製されたもと(原)の戸籍のことです。

どういうことかと言えば、過去の法令の改正によって、
戸籍の様式は時代と共に何度か変わっており、
古い様式の戸籍は、新しい様式によって改めて作製されています。

そして、古い様式の戸籍は、改めて作製されたという意味で、
改製原戸籍(かいせいげんこせき、又は、かいせいはらこせき)
という名称になっているのです。

なお、改製原戸籍は、略して原戸籍(はらこせき)と呼ぶこともあります。

次の例は、改製原戸籍の具体例で、赤枠部分に注目して見てください。

改製原戸籍の例

改製原戸籍かどうかを正確に見分けるには、
冒頭部分か末尾の認証文(赤枠部分)を見ると良いです。

なぜなら、改製原戸籍の冒頭部分には、
「改製原戸籍」という大きな文字があり、
末尾の認証文には「原戸籍」という文字があるからです。

なお、次の表は、改製原戸籍が必要な手続きと、
誰の改製原戸籍が必要なのかもわかる一覧です。

【改製原戸籍が必要な手続き】【誰の改製原戸籍が必要?】
相続手続き亡くなった人の全ての改製原戸籍の謄本
公正証書遺言書の作成遺言者と相続人とのつながりのわかる改製原戸籍の謄本
家系の戸籍調査ご本人と直系の人の改製原戸籍の謄本
(改製原戸籍が必要な手続きと、誰の改製原戸籍が必要なのかの一覧)

このように、除籍や改製原戸籍については、
通常、亡くなった人の相続手続きや、
家系の戸籍調査等で必要になる戸籍と言えます。

そこで、亡くなった人の相続手続きに必要な戸籍については、
「相続手続きに必要な戸籍謄本とは?」で、
具体的にわかりやすく解説しています。

戸籍の全部の写しか、一部の写しかで分ける場合は2種類

役所から戸籍を発行してもらう際、
戸籍の全部の写し(コピー)か、
戸籍の一部の写し(コピー)の2種類から選択できます。

戸籍の全部を写したのが謄本(とうほん)で、
戸籍の一部だけを写したのが抄本(しょうほん)です。

ただ、謄本という呼び名は、戸籍の電子化前の呼び名のことで、
戸籍の全部の写しということから、
電子化後は「全部事項証明」という名称に変わっています。

同じく、抄本という呼び名も、戸籍の電子化前の呼び名で、
戸籍にいる人の一部(個人)のみを写したということから、
電子化後は「個人事項証明」という名称に変わっています。

そして、謄本(全部事項証明)と抄本(個人事項証明)の内、
どちらを役所から発行してもらうかは、
戸籍を請求する人が選択できるのです。

そこで、戸籍の謄本(全部事項証明)と、
戸籍の抄本(個人事項証明)がどういった書面なのか、
それぞれ具体例と特徴を見てみましょう。

戸籍の謄本(全部事項証明)

次の例は、戸籍の謄本(全部事項証明)の具体例で、
赤枠部分に注目して見てください。

戸籍の謄本(全部事項証明)の例

戸籍の謄本(全部事項証明)かどうかを見分けるには、
冒頭部分と末尾の認証文(赤枠部分)を見ると良いです。

なぜなら、謄本(全部事項証明)の場合、
冒頭部分に「全部事項証明」という記載があり、
末尾には、次の1~4のいずれかの認証文が記載されているからです。

  1. これは、戸籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。
  2. これは、除籍に記録されている事項の全部を証明した書面である。
  3. この謄本は、戸籍の原本と相違ないことを認証する。
  4. この謄本は、除籍の原本と相違ないことを認証する。

つまり、上記1~4のいずれかの認証文が末尾にある戸籍は、
謄本(全部事項証明)と判断できます。

なお、現在戸籍の全部を写した書面が戸籍謄本で、
除籍の全部を写した書面は除籍謄本、
改製原戸籍の全部を写した書面は改製原戸籍謄本と言います。

これらの謄本の内、特に除籍謄本と改製原戸籍謄本は、
通常、亡くなった方の相続手続きや公正証書遺言書の作成、
家系の戸籍調査で必要になる書面です。

相続手続に必要な戸籍の謄本類については、
「相続手続きに必要な戸籍謄本とは?」を参照下さい。

戸籍の抄本(個人事項証明)

次の例は、戸籍の抄本の具体例で、
赤枠部分に注目して見てください。

戸籍の抄本(個人事項証明)の例

戸籍の抄本(個人事項証明)かどうかを見分けるには、
冒頭部分と末尾の認証文(赤枠部分)を見ると良いです。

なぜなら、戸籍の抄本(個人事項証明)の場合、
冒頭部分に「個人事項証明」という記載があり、
末尾には、次の1か2のいずれかの認証文が記載されているからです。

  1. これは、戸籍中の一部の者に記録されている事項の全部を証明した書面である。
  2. この抄本は、戸籍の原本と相違ないことを認証する。

つまり、上記1か2のいずれかの認証文が末尾にある戸籍は、
抄本(個人事項証明)と判断できます。

なお、戸籍の謄本の取得か抄本の取得かで迷った場合、
役所からの発行手数料はどちらも同じなので、
謄本(全部事項証明)を取得しておいた方が安心です。

なぜなら、戸籍の抄本ではだめという手続きはありますが、
戸籍の謄本(全部事項証明)ではだめという手続きはないからです。

スポンサーリンク

戸籍の様式で分ける場合は5種類

戸籍は、過去の法令改正により、
明治・大正・昭和・平成のそれぞれの時代で、
戸籍の様式に違いがあります。

そして、戸籍を様式の違いで分ける場合、
明治19年式、明治31年式、大正4年式、
昭和23年式、平成6年式の5種類となります。

そこで、各年式の戸籍がどういった書面なのか、
それぞれの具体例と特徴を見てみましょう。

明治19年式の戸籍

明治19年式の戸籍は、明治19年10月16日から、
明治31年7月15日の間に作られた戸籍になります。

特徴としては、戸主(こしゅ)を中心にして、
直系(父母・妻・子・孫)と傍系(兄弟姉妹等)の親族が、
家単位で1つの戸籍に記載されていることです。

次の例は、明治19年式の戸籍の具体例です。

明治19年式の戸籍の例

明治31年式の戸籍

明治31年式の戸籍は、明治31年7月16日から、
大正3年12月31日の間に作られた戸籍のことで、
明治19年式の戸籍の様式とほとんど同じです。

戸主(こしゅ)を中心にして、
直系(父母・妻・子・孫)と傍系(兄弟姉妹等)の親族が、
家単位で1つの戸籍に記載されていることも同じです。

次の例は、明治31年式の戸籍の具体例で、
赤枠部分に注目して見てください。

明治31年式の戸籍の例

明治31年式の戸籍は、明治19年式とほとんど同じですが、
上記例の赤枠部分に大きな違いがあり、
戸籍の1枚目に「戸主となりたる原因及び年月日」の欄が加わっています。

文字が小さくて見えにくいという方のために、
「戸主と為りたる原因及び年月日」の欄を拡大してみます。

このような「戸主と為りたる原因及び年月日」欄がある戸籍は、
明治31年式の戸籍と判断できるのです。

大正4年式の戸籍

大正4年式の戸籍は、基本的に大正4年1月1日から、
昭和22年12月31日までの間に作られた戸籍になります。

次の例は、大正4年式の戸籍の具体例で、
赤枠部分に注目して見てください。

大正4年式の戸籍の例

特徴としては、前戸主と戸主の記載はまだありますが、
「戸主となりたる原因及び年月日」欄が無くなり、
その内容は戸主の事項欄に記載されていることです。

また、大正4年式の戸籍でも、戸主を中心にして、
直系(父母・妻・子・孫)と傍系(兄弟姉妹等)の親族が、
家単位で1つの戸籍に記載されているのは変わっていません。

昭和23年式の戸籍

昭和23年式の戸籍は、昭和23年1月1日から、
現在まで作られている戸籍になります。

特徴としては、それまで家単位で戸籍が作られていたのに対し、
夫婦とその子供の単位に変更されたことです。

次の例は、昭和23年式の戸籍の具体例で、
赤枠部分に注目して見てください。

昭和23年式の戸籍の例

このように、夫婦とその子供までの範囲で作られた戸籍で、
縦書きの戸籍については、除籍でも改製原戸籍でも、
昭和23年式の戸籍になります。

平成6年式の戸籍

平成6年式の戸籍は、内容自体は昭和23年式と同じで、
電子化によって横書きになった戸籍になります。

次の例は、平成6年式の戸籍の具体例です。

平成6年式の戸籍の例

このように、電子化された横書きの戸籍は、
平成6年式の戸籍になります。

ちなみに、平成6年式の戸籍は、現在進行形の戸籍で、
昭和23年式の戸籍を電子化したものにすぎないため、
あわせて現行戸籍(げんこうこせき)とも言います。

スポンサーリンク